硝子体注射
硝子体注射は、最近になって眼科で行われるようになった治療法ですが、病院を中心に現在ではかなり多く行われています。
当初、加齢黄斑変性に対して行われ始めた治療で、異常な血管を消失させる効果のある薬(抗VEGF物質)を眼の中に直接注入します。
また、他に糖尿病黄斑浮腫、網膜静脈閉塞症、近視性脈絡膜新生血管症といった病気にも効果があることが分かり、治療対象となり患者さんの数がかなり増えてきています。
・薬剤(抗VEGF物質)の働き
- 1. 網膜の血管流からの血液成分の漏れを抑え、結果的に網膜の浮腫みをひかせます。
糖尿病黄斑浮腫に対して。
- 2. 網膜の下にある脈絡膜から網膜へ向かって生えてくる異常血管(脈絡膜新生血管)を縮小させ、新生血管からの血液成分の漏れを抑えます。
加齢黄斑変性、近視性脈絡膜新生血管症に対して。
- 3. 血管が詰まり、網膜が酸欠状態の時、網膜から酸素不足のサインの1つとしてVEGF物質が放出されます。VEGFは網膜の浮腫みや新生血管発生の原因となるため、これを抑えます。
網膜静脈閉塞症、糖尿病網膜症に対して。
・硝子体注射の方法
針を刺しても問題にならない白目の部分を選んで刺し、薬を注入するだけですので時間はかかりません。むしろ、針と一緒に雑菌が目に入らないようにするための消毒作業に時間がかかります。注射針も採血などで使用する針よりもずっと細いものを使用するので穴はすぐにふさがります。
・硝子体注射の問題点
多くの患者さんに治療による改善、悪化抑制効果があり、手術に比べると簡便で即効性もあるので全世界に急速に広まった硝子体注射ですが、目下の問題点として以下のようなものがあります。
- 1. 治療効果が短く1~2か月程度で効果が切れてしまう。
定期的に注射をし続けないといけないため治療費がかさむ。
- 2. 薬価が高いこと。
1回の治療費が3割負担の方で約5万円かかります。
- 3. 感染症
可能性は非常に低い(数千人に一人)ですが注射した部分から雑菌が目の中に入り感染症を起こす危険があります。